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インク開発技術

ORPHIS × RISOGRAPH 理想科学のコア技術

理想科学の3つのコア技術をご紹介します。

インク開発技術

1954年(昭和29年)、試行錯誤の結果開発された、国産初のエマルジョンインク「RISOインク」。以来、長年培った技術とノウハウで、理想科学のプリンターの特長の1つである「速さ」を実現するために、さまざまな工夫を施してきました。

ここでは、そんなインクにまつわる技術をご紹介します。

オルフィス(インクジェット方式)への応用

高速印刷のため独自開発した油性顔料インク

「オルフィス」は、主に産業用途で利用されているインクジェット技術を採用した高速カラープリンターです。高速で搬送する用紙にノズルからインク滴を吐出し、フルカラーを高速かつ低コストで出力します。“カラー出力はコストが高く時間もかかる”という概念を打ち破り、モノクロ出力並みのコストを実現し「カラーを身近に」した画期的なプリンターです。

オルフィスに使用するインクは、独自に開発した油性顔料インク。安定した品質を保ち、耐水性に優れ、高速印刷に適しています。油性顔料インクを構成するのは、顔料(色材)、油分、分散剤、添加剤などです。顔料は発色をよくするために繊細な粒子に均一に分散。顔料、油分、分散剤、添加剤のバランスにより安定したインク品質を維持しています。

油性顔料インクの構成

油性インクのメリットを最大化

一般的なオフィス用のインクジェットプリンターで採用されるインクは、水性がほとんどです。しかし、オルフィスは独自に開発した油性インクを使用しています。

高速印刷に適していること。それが油性インクを採用した最大の理由

水性インクを用いた場合、印刷直後に用紙が水を吸収します。水を含んだ用紙は、波打ちやカールなどの変形が起こりやすく、高速用紙搬送する際にしわが入りやすくなってしまいます。油性インクは、印刷直後の用紙の変形がなく、スムーズな用紙搬送が行えるため、高速印刷に適したインクです。そのため、印刷直後の後処理(丁合、製本など)も確実に行えます。

油性・水性インクの性能の違い

印刷濃度を向上し、安定したプリント環境を実現

理想科学は、油性インクが用紙に浸透する過程を考慮して、インク開発を行っています。
油性成分を厳選し、顔料や分散剤を最適化しインクの浸透深度を制御、印刷濃度を向上させました。
深度を制御することで、読みやすい両面印刷が可能です。

また、インクの変質を防ぎ、安定した状態を保持する油性成分を採用しているため、インクノズルのクリーニング動作が少なく、ダウンタイムを最小限に留めています。

世界最速のカラープリントを支える油性インク

オルフィス専用の油性顔料インクは、たゆまぬ努力と試行錯誤の結果完成しました。2003年(平成15年)の発売以来、オフィスプリンターとして世界最速*を更新し続け、新たな市場を切り拓いてきました。

低コストでカラープリントができることも、オルフィスの魅力の1つです。オルフィス独自のカラープロファイル「ComuColor™Standard」が、原稿の色情報を元に用紙の性質に合わせて、インク各色の吐出量を最適化。インクを無駄なく効率的に使うことで低コストを実現しています。

  • *オルフィスGL9730プレミアム/GL9730/GL9731の場合。A4普通紙片面横送り、標準設定連続プリント、GDフェイスダウン排紙トレイ使用時。オフィス用カラープリンターにおいて世界最速(データ・サプライ調べ:2023年3月現在)。

リソグラフ(孔版印刷方式)への応用

画像性と速乾性を追求したエマルジョンインク

「リソグラフ」は、謄写版(ガリ版)で使われている孔版印刷技術を採用したデジタル印刷機です。孔版印刷は、印刷の元となる版に“孔(あな)”を開け(製版)、そこからインクを通過させて画像を用紙に転写する印刷方式です。同じ原稿を大量・スピーディーに印刷するニーズに適した印刷機です。

リソグラフに使用するインクは、「油分」と「水分」で構成されるエマルジョンインク。エマルジョンとは、界面活性剤(乳化剤)の働きにより、混じり合わない2種類の液体の一方の成分がもう一方の成分に分散し、安定的で均一な液状に保たれた状態のことです。身近な例としては、マヨネーズ、バター、牛乳、アクリル絵の具、木工用接着剤、乳液などが挙げられます。リソグラフに使用するインクは、バターのように油分の中に水が分散する油中水滴(w/o型:Water in Oil)になります。

写真は、エマルジョンインクを電子顕微鏡で観察したものです。油の中にたくさんの水の微粒子が確認できます。油分と水分に界面活性剤と顔料(色材)が加わり、エマルジョンインクを構成します。
印刷待機時のドラム内でのインクの安定保存、印刷時の画像表現性と速乾性を追求し、油分と水分が最適な配合比率になるよう検討を重ねました。

また、エマルジョンインクは、温度や環境の変化による変質が少ないことも特長の1つです。

エマルジョンインクのメリットを最大化

リソグラフの特性にマッチしたインク開発には、さまざまな工夫が必要でした。

印刷機の中で乾かず、印刷されるとすぐ乾くインクに

リソグラフは、製版された版を印刷機内部の印刷ドラムに巻き付けます。通過する用紙にドラムを回転させながらプレスローラーで加圧して印刷。
印刷待機時は、印刷ドラムの中に残ったインクから水分が蒸発し、インクの状態が変質してしまいます。この変質により、ドラムからインクが出にくくなるなどのトラブルを引き起こすことがあります。

リソグラフのエマルジョンインクは、インクの変質を最小限にとどめ、使用時に印刷できる状態へ機能回復できるよう、インクを開発しています。

印刷機構

用紙の中へ速く浸み込み、きれいな印刷を

印刷後すぐに、エマルジョンインクの油分と水分は分離し始めます。用紙の中に残るのは、油分の一部と顔料のみです。この油分・水分・顔料の原材料、配合バランス、加工条件の最適化により、にじみやこすれを抑え、印刷濃度を向上することができます。

エマルジョンインクの定着の仕組み

孔版印刷で世界初 米ぬか油を使用したインク開発

これまで廃棄されてきた米ぬかを利用することが環境に良いだけでなく、抗酸化成分を豊富に含む米ぬか油の特性を活かすことで、品質安定性の高いライスインクの開発に成功しました。また、国産米ぬか油は国内インク工場までの輸送距離が短く、輸送時のCO2排出量を低減します。

※オーダーカラーはライスインクや植物油インクに対応しない場合があります。また、HGインクには対応しません。

金色や蛍光色など、さまざまな色のインクを提供

高速化、高精細化、両面印刷対応など、いまも進化を続けているデジタル印刷機「リソグラフ」。その進化に合わせてインクも改良を重ねています。

インクは17色のカスタムカラーを用意。さらにコーポレートカラーなどのオーダーカラーインクにも対応できます。孔版印刷用のエマルジョンインクとしては初めてのゴールドインク、蛍光インクの開発にも成功しました。

  • 豊富なカラーバリエーション
  • RISOインクFタイプゴールド
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