HOME > 知る・学ぶ > 理想のものづくり > 理想科学のコア技術 > 印刷プロセス最適化技術

印刷プロセス最適化技術

ORPHIS × RISOGRAPH 理想科学のコア技術

理想科学の3つのコア技術をご紹介します。

印刷プロセス最適化技術

理想科学は、「インク開発」と「高速用紙搬送」における独自技術の優位性を相乗的に引き出すことにより、完成度の高い製品を創り出してきました。プリンターの特性に合わせた消耗品、また消耗品の特性に合わせたプリンターであることが印刷スピードや印刷品質の向上を実現するためにとても重要です。ハード(プリンター)とサプライ(消耗品)をマッチングし、印刷プロセスを最適化する技術は、お客様にさまざまな利便性を提供しています。

ここでは、この印刷プロセス最適化技術についてご紹介します。

オルフィス(インクジェット方式)への適用

オルフィスは、多枚数のカラードキュメントを高速かつ低コストでプリントができるビジネス用途の高速インクジェットプリンターです。
高速性を最大限に発揮するために、A3ワイド用紙の短辺を一度に印字できるライン型インクジェット印字ヘッドと、高速印刷のために独自で開発した油性顔料インクを採用。
化学、機械、電気、ソフトウェアに至る広範囲な技術の総合力で、産業用のプリンターと同様の高速性をオフィスで使用できるコンパクトサイズで実現しました。

  • 用紙変形の少ない油性インク
  • 波打ちやカールなどの変形が起こりやすい水性インク

油性インクの特徴にあわせた画像処理

オルフィスでは、油性インクが用紙に浸透する過程を考慮したカラープロファイルを使用しています。
インクの吐出量を多くすれば濃度が高い印刷ができる反面、細字がつぶれたり、にじんだり、裏まで文字が透けててしまう事があります。用紙には、普通紙、マット紙などの種類があり、用紙の性質によってインクの浸み込み・広がり具合が異なります。
オルフィス独自のカラープロファイル「ComColor™Standard」が、原稿の色情報を元に用紙の性質に合わせて、インク各色の吐出量を最適化します。様々な印刷条件に合わせ、発色が良く、にじみが少ないきれいなプリントを可能にします。

きれいな高速印刷のための印字ヘッド制御

高速できれいな印刷を実現するには、インク滴を“速く”吐出し、かつ“正確に”用紙に着弾できるようコントロールすることが重要です。インク滴の飛翔状態を評価し、印字ヘッド駆動の電気的制御に反映させることや、インクの粘度・表面張力や成分配合率などのインク処方の見直しなど、数々の条件・組み合わせを検証し、安定した高速印刷のための最適化を行っています。

インクの飛翔状態

家庭用のインクジェットプリンターは、印字ヘッドが往復動作し一定幅ずつインク滴を吐出します。これに対して、オルフィスは、A3ワイド用紙の短辺を一度に印字できる316mm幅のライン型インクジェット印字ヘッドを4色並列に配置し、高速搬送される用紙の全幅にインク滴を吐出し印刷します。
インク滴は1ドットあたり最大8階調。印字ヘッドから直径23ミクロンという微小なインク滴を吐出し、1.5ミリ離れた用紙に時速約30キロメートルの速さで着弾します。

インクの吐出

きれいな印刷と高速搬送の両立

高速かつ正確に用紙を送るためには、強いグリップ力を持ったローラーが必要です。
ローラーで上下から用紙を挟み、プリントされた用紙を次々と搬送していきます。
プリント直後の用紙の表面にローラーが接することで、インクがローラーを介して別の用紙に付着してしまうことがあります。
オルフィスでは、きれいな印刷と高速搬送を両立させるため、インクとローラーに改良を重ねてきました。
用紙にすばやく浸み込むよう浸透深度を制御したインクとインクが付着しにくい表面形状をしたローラーを独自に開発。プリントシステムの最適化を常に行っています。

ローラーによる用紙搬送

リソグラフ(孔版印刷方式)への適用

リソグラフは、孔版印刷の原理を核に、理想独自の技術を融合させて開発した、デジタル印刷機です。多枚数プリントを高速・低コストで印刷することができます。
製版・印刷における印刷プロセスを最適化することで、用紙に転移されるインクの量をコントロール。様々な使用環境において、誰でも簡単に高速で1枚目からきれいにプリントができるデジタル印刷機を開発しました。

どんな環境でも、安定的にきれいな印刷を実現

使用する国や季節、環境によって、常に一定の印刷品質を保つことは重要な課題です。理想開発センターにある環境試験室では、一般的なオフィス環境(15℃〜30℃)はもちろん、さまざまな使用環境を想定し、製品の印刷品質評価を徹底して行っています。

また、製版・印刷の工程にも工夫を凝らしています。リソグラフはマスター(印刷の元となる版)にサーマルヘッドで微細な孔“あな”を開けて製版し、そこからインクを通過させ紙に画像を転写する印刷方式です。サーマルヘッドの基板の上には小さな発熱体が整列配置され、原稿のデータ内容に応じて発熱体に通電、マスターに孔を開けます。インクには、暑い場所ではやわらかく、寒い場所では硬くなるという特性があります。変化するインクの性質に応じて一定の品質で印刷するために、印刷環境に合わせてサーマルヘッドを電気的に自動制御しミクロン単位で孔を開けます。

製版(サーマルヘッドとマスター)

印刷ドラムでは、インクを薄く均一に伸ばし、インクの転移量をコントロール

リソグラフの印刷ドラムの内部には、インクの粘性を活かして薄く均一にインクを供給していく仕組みがあります。
印刷ドラムにセットされたインクボトルから内部のスキージーローラー上にインクを補給してインクの渦をつくり、適量を維持するようインキングが自動制御されています。
印刷ドラムの外周面は、版胴(数多くの孔が空いた筒状のもの)と2枚のスクリーンメッシュにより段階的に目が細かくなる構成で、製版されたマスターへ薄く均一に伸ばすようにインクを供給。
高速で搬送される用紙をドラムの下からプレスして最適な量のインクを転移させ、裏移りの少ないきれいな印刷を実現します。

印刷ドラムの多層構造

かすれやムラなく、きれいに印刷

印刷機は長期間使用していないときや寒い場所で使用するとき、インクの状態が変化し、かすれやムラが出て、用紙を無駄に使用してしまうことがあります。リソグラフには、こうした印刷環境の不安定さを解消する「オートアイドリング機能」があります。この機能により、印刷ドラム内のインクがリフレッシュされて、きれいに印刷することができます。

リソグラフに内蔵された印刷ドラム

多様な用紙への印刷ニーズにも、柔軟に対応

リソグラフの給排紙機構は、ストレートに紙を送るシンプルな構造で、給紙圧の調整が可能。のし紙などの薄紙、学校で使用されるザラ紙、表彰状などの厚紙やハガキ、封筒など、幅広い紙質・厚さの用紙への印刷ニーズに対応します。

また、プレスローラーにより用紙の下から加圧して印刷するため、表面に凹凸のあるレザック紙にもきれいに印刷できます。

様々な用紙

コア技術トップへ
理想化学のものづくり