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手書き文字に思いを乗せて 学級通信というコミュニケーション

学校の通信類を対象にした全国コンテストで最優秀賞を受賞した岡崎市立三島小学校の浅井優子先生。
手づくりの学級通信に込めた思い、工夫とは。
「学級通信」を通じた子どもたちとのコミュニケーションの様子をレポートする。

学級づくりに欠かせない通信。タイトルは毎年担当するクラスの雰囲気 から連想する。4年2組の担任となった昨年4月、とびきり元気のよい子どもたちを見て「雑草魂」と名づけた。

学級づくりに欠かせない通信

 「はい、通信読みますよ!」。先生のよく通る声に、騒々しかった児童たちがさっと集中し、配られたばかりの学級通信を見つめる。「さらさんはいつも優しいです」「丈太郎さんはいつも笑顔です」。児童の長所を紹介する「友達スケッチ」のコーナーでは、照れたような笑い声や「知ってる!」と賛同する声が挙がる。浅井優子先生が受け持つ4年2組の帰りの会の風景だ。先生になって7年間、浅井先生は工夫を凝らした学級通信をつくり続け、こうして全員の前で読み上げている。「私自身、中学の恩師がつくった通信が大好きでした。私も、温かくて記憶に残る通信をつくれれば」
学級通信は毎週金曜日発行。浅井先生は木曜日の放課後に原稿を作成しリソグラフで印刷する。行事の案内のほか、日々のできごとを子どもたちの目線で切り取る。冒頭の「友達スケッチ」は、席替えのたびに隣の席の子の長所を児童から手紙で知らせてもらい、その内容を後日掲載するという仕組み。全員が必ずどこかのタイミングで紹介されるため、皆に等しくスポットライトが当たる。最初は何を書けばよいかわからなかった児童たちも、次第に相手の小さな長所にも気づくように。自信がつき、相手への気遣い、ひいてはクラス全体の一体感も生まれるという。先生の目指す学級づくり≠ノ、通信は不可欠なのだ。「家に帰って親に見せたり、大事に保存する子もいる。もちろんふだん褒めるばかりというわけではなく叱るときは叱ります。ただ、通信は後に残るものだからなるべく良いことを書いてあげたい。私自身が学生の頃の通信をよく覚えているわけですから」
パソコンでの原稿作成が主流の現場で、手書きにもこだわる。「子どもにとっては黒板で毎日目にする見慣れた筆跡。何年か後でも、通信の文字を見れば私の姿を重ねると思う。だから手書きで伝えたいんです」。手書き文字に乗った先生の温かい思いは、将来の子どもたちの胸にもしっかりと届くだろう。

美術が専門の浅井先生が描くイラストは子どもたちに大好評。口々に、「先生は絵も字も上手なんだよ」と嬉しそう。

さまざまな印刷物にリソグラフが使用されている。

2012年度の学級通信「切磋琢磨」は、学校の通信類を審査する全国コンテスト「第9回プリントコミュニケーションひろば」(公益財団法人 理想教育財団主催)で見事最優秀賞を受賞した。
写真は2013年度の「雑草魂」。

印刷室にあるリソグラフを使って、クラスの人数や掲示用に毎号40部ほどを印刷する。体育会や合唱コンクールなどの行事の前後には特別号を発行することも。
「基本的には子ども向けにつくっていますが、親御さんにとっても、学校でのお子さんの様子を知っていただくツールになれば」と浅井先生。

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岡崎市立三島小学校

徳川家康生誕の地である愛知県岡崎市に位置する、明治6(1873)年開校の歴史ある小学校。「誠─正しく 強く 明るく」を校訓とし、徳・知・体の調和がとれ、たくましく生きる力を身につけた子の育成を目指している。

浅井先生は2014年3月まで4年2組を担当。

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