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「理想の詩」世界に類のないものがたり(2015年夏号)

Vol.5 海外進出

  よりスピーディで、低コストな印刷機を届けたい。1980年、理想科学は画期的な孔版印刷機リソグラフを日本で新発売。大量印刷を必要とする学校・官公庁・企業など、さまざまなお客様から高い評価を受けました。

メーカーとしての「当たり前」にこだわる

 しかし思う存分使いこなしていただくためには、いつでも、どこであっても、インクなど消耗品の安定供給、そして迅速な修理への対応が何よりも重要です。こうしたメーカーとしての「当たり前」を徹底するために、強固な販売体制づくりに取り組みました。この考え方は、日本のみならず、世界に対するときも同じく譲れないこだわりでした。

海外の見本市での圧倒的な賛辞

 日本で注目を集めたリソグラフは、海外進出挑戦にあたり、82年に世界最大級の総合見本市であるドイツ・ハノーバーメッセと、84年のアメリカ最大級の事務機フェアNOMDAに出展。圧倒的な賛辞を浴びます。「これなら海外にも受け入れられる」。羽山昇社長(当時)は海外進出への決意を固めたのでした。

現地の人への信頼こそが進出の要

 海外での手ごたえを感じつつも、簡単には乗り出しませんでした。それはしっかりアフターサービスをしてもらえる現地のパートナーを探すためです。
現地を一番よく知っているのは、やはり現地の人。日本で行ってきたのと同じように経営者の一人一人に会い、「大丈夫だ」と信頼できる人を見極めました。「心さえ合えば、あとは信頼することだ」。86年の海外現地法人RISO, INC.(米マサチューセッツ州)設立を皮切りに、海外市場を切り拓いていったのです。

さらなる世界市場へ

 アメリカ進出の後、ヨーロッパ、アジアへ営業拠点を次々に拡大。理想科学の製品は海外でも着実にファンを増やし、いまや世界180の国や地域のお客様にご利用いただき、営業拠点同様、製造拠点も海外進出を果たしています。
世界中、いつでも、どこでも、だれにでも。メーカーとしての精神を忘れず、いまも世界に製品を届け続けているのです。

SIDE STORY|開発本部 奥田 貞直

海外の印刷機材展に出展

 1982年のハノーバーメッセ(ドイツ)では、孔版印刷機の分野において他に先駆けてマイコンを搭載し、複写機並みの手軽さで印刷をこなすリソグラフに、「これが謄写版か!」と驚きの声が。84年のNOMDA(アメリカ)でも大好評を得て、リソグラフを売りたいと希望するディーラーが続出。選考に苦労するほどだった。

1982年、ハノーバーメッセでの理想科学ブースの様子。

現地との信頼関係を築くために

 「現地のことは現地に任せるのが一番」と信じた羽山昇社長(当時)。タイの子会社では、事務所のコンクリートの上に正座、9人の僧侶の読経を聞きお参りするという現地流の創業セレモニーにも参列し、信頼関係を築いた。

ジンバブエからの贈り物

 1995年、ジンバブエのあるユーザーから感謝のメッセージとともに、リソグラフを囲むユーザー(医者や教師、運転士など)を模したミニチュア人形が贈られた。行政や病院、学校などさまざまな場所でリソグラフが役立っている証として、社長室に飾られた。

世界の拠点で息づく理想流ものづくりの精神

 理想科学の製品は、国内では茨城県、山口県、海外では中国、タイの生産拠点でつくられており、生産のグローバル化が進められています。
海外でも同じ品質で安定したものづくりを実現するため、国内の生産技術をそのまま応用。しっかりとした基礎研修を通し、スムーズな生産ラインの立ち上げや量産の維持、品質の標準化につなげています。また、工程や品質への理解を徹底、道具類の背景にある思想まで知ってもらうことで、現地のスタッフとの作業におけるコミュニケーションの質も維持しています。こうした理想流のものづくりの精神は、変わらず受け継いでいきたいですね。

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