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「理想の詩」理想的時間旅行(2016年冬号)

Vol.3 製本

多彩なオプションで高い拡張性を誇るオルフィス。
オプションにより可能となる技術のひとつが、くるみ製本です。大量の紙をまとめて綴じ、本にする。製本技術の誕生とその変遷を追います。

ABOUT ─西洋の製本技術はキリスト教とともに広まった─

西洋において、それまで巻物が主だった書物が冊子の形に変わっていくのは4世紀後半とされる。羊皮紙を折りたたんで「折丁(おりちょう)」を順番に重ね、糸で綴じ、頑丈な動物の皮を使って表紙をつけた「本」の原型が確立した。やがてキリスト教の普及とともに、聖書という形で、冊子型の本が一般化していく。

HISTRY ─不便さを克服していった和の製本技術─

日本にはまず「巻子本(かんすほん)」、いわゆる巻物のが中国から伝わった(写真右上)。 奈良時代の書物はほとんどこの形をしていたとされるが、全部を広げないと目的の箇所が読めない不便さがあり、やがて中身を折りたたんだ「折本(写真右下)」が誕生。しかしこちらも時がたつと折り目が擦り切れ、ちぎれてしまうという難点があった。それらを解決したのが二つ折りにした紙を束ねて紐で結ぶ和綴じ本(謝写真下)。やがて明治の初めにイギリスから西洋式の製本技術が伝わると、急速に普及していった。

COLUMN 1

職人には危険も伴ったかつての製本作業

戦後、技術の進歩とともに製本業の現場も少しずつ機械化が進んでいったが、長らく製本には人の手仕事が欠かせなかった。本の背の部分以外の三面を切断する「三方断裁」は、綴じた後の紙のでこぼこやはみだしをきれいにカットするのに欠かせない工程だが、刃物を手にした職人がまとまった紙の束の上に体重をかけて行うため、危険が伴う仕事だった。

COLUMN 2

身近な本はどんな綴じ方をされている?

たとえば、「中綴じ」といわれる綴じ方は、ノド(中央)の折り目の部分が針金で綴じられている。見開き具合のよさが求められる週刊誌や漫画雑誌などに多く用いられる。一方、文庫本やページ数の多いカタログ類などに主に使われるのは「無線綴じ」。針金や糸を使わず、接着剤を使用して、背の部分を接合する。オルフィスのオプション機能で可能となる「くるみ製本」は、この無線綴じの一種。

〈取材協力〉

東京製本工業組合
1900(明治33)年に前身となる東京製本同業組合創立。今年創立116年を数える。次代を担う製品技能者を育成するための製本分野における都内唯一の認定職業訓練校「東京製品高等技術専門校」も運営しており、現在までに約600名の製本技能者を世に送り出している。

 

 

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