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「理想の詩」理想的時間旅行(2017年春号)

Vol.4 シルクスクリーン

多彩なオプションで高い拡張性を誇るオルフィス。
オプションにより可能となる技術のひとつが、くるみ製本です。大量の紙をまとめて綴じ、本にする。製本技術の誕生とその変遷を追います。

ABOUT ─1907年、特許になったシルクスクリーン─

1907年、イギリスのサミュエル・サイモン(シモンとも)が、絹の布を張った「版」、つまりシルクスクリーンを使った印刷方法の特許を取得。ここからシルクスクリーンの商業印刷への利用が広がっていく。ちなみにサイモンは、絹の布を使った日本の型染めの技法などをヒントに、アイデアを開発したといわれている。

HISTRY ─ポップアートの表現に欠かせないツール─

商業印刷に使われていたシルクスクリーンが、数多く版画に用いられるようになったのは1960年代のアメリカだった。コミックをモチーフにした作品で知られるロイ・リキテンスタイン、マリリン・モンローの写真を多様な色で刷った作品で有名なアンディ・ウォーホルなど、ポップアートの代表的な作家が多用した。シルクスクリーンは、木版などとは異なり、平板で無機質な刷り上がりになり、それがポップアートのテーマである「大量生産・大量消費社会」の表現に合っていたからだといわれている。

COLUMN 1

即興性と軽やかさこそがシルクスクリーンの醍醐味

2011年夏号からシルクスクリーン製版機ゴッコプロを使って「理想の詩」の印象的な表紙を制作し続けている図案作家の有田昌史さんに、シルクスクリーンの魅力についてうかがいました。

 コンピュータで何でもできるデジタル全盛の時代にあって、活版印刷やDIYカルチャーに再び注目が集まっているのは、職人の技や手作業といったものに、人が魅力を感じている証といえるでしょう。シルクスクリーンにも同様の理由から、関心を持つ若い世代が現れています。シルクスクリーンのもうひとつの魅力は、刷る素材を問わないことや手軽さです。私もシャツやTシャツ、バッグ、うちわ、さらには壁にまで刷ってきました。また、ゴッコプロを使えば製版の時間や手間も省け、思いついたものをすぐに刷ることが可能になります。その即興性と軽やかさこそが、シルクスクリーンを使う醍醐味といえます。

COLUMN 2

素材も曲面も問わないのが、シルクスクリーンの強み

シルクスクリーンによる印刷は、紙をはじめ、布地、Tシャツ、プラスチックやガラス、陶磁器など多様な素材に対して行われている。また、版自体に柔軟性があるので、曲面への印刷も可能。製版や印刷に必要な機器も、他の印刷方法に比べて安価だ。こうした使いやすさが普及の大きな要因となった。なお、シルクスクリーンというが、現在は絹より安価で耐久性の高い合成繊維が用いられている。

〈取材協力〉

町田市立国際版画美術館
日本では数少ない、版画作品を中心に収集している公立美術館。収蔵している国内外の版画は約3万点。奈良時代から現代までの幅広い年代の作品があり、ポップアートの作品なども収蔵されている。また、各種版画制作指導なども行っている。1987年4月開館。

 

 

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