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「理想の詩」理想的時間旅行(2017年夏号)

Vol.5 和紙

同じ原稿を大量・スピーディーに処理するデジタル印刷機「リソグラフ」。
大量印刷を支える技術のひとつが、印刷の元となる版(マスター)です。
そのマスターに用いられている「和紙」の製作工程や歴史、特長について探ります。

ABOUT ─日本人の生活に密着した素材だった和紙─

「和紙」とは明治以降に西洋から入ってきた「洋紙」と区別するためにつけられた呼び名。薄くて柔らかいだけでなく、しっかりとした繊維による強度がある。その特長から、かつては書物をはじめうちわや提灯、ふすま、傘などまで、生活に密着した多くの道具に用いられてきた。現在は文化財の修復などにも使用される。

HISTRY ─紀貫之も奨励した紙づくり─

紙は105年に中国の宦官(かんがん)・蔡倫(さいりん)が発明したとされていたが、最近の研究では紀元前2世紀頃にすでに存在したとされている。日本には、飛鳥時代の610年に高句麗の僧・曇徴(どんちょう)が製紙技術をもたらしたとされる。平安時代には全国に生産地が広がり、土佐(現高知県)の国司で「土佐日記」を記した紀貫之も紙づくりを奨励したと考えられている。

COLUMN 1

製紙産業の基盤を築いた吉井源太

土佐の御用紙漉き業の家系に生まれた吉井源太は、江戸時代末期、紙の生産量を倍増させる大型簀桁を発明し、全国に普及させた。製紙原料となる三椏やトロロアオイ(13ページCOLUMN2写真参照)の栽培促進や、明治維新後はタイプライター用紙や郵便半切紙を発明するなど、紙の量産化技術や新製品開発による事業拡大にも尽力。それにより高知県は長年全国一の手漉き和紙生産量を誇った。

COLUMN 2

和紙はどうやってつくられる?

木材から一枚の和紙ができるまでには、いくつもの工程があります。

〈取材協力〉

薄く均等に紙を漉くには熟練の技が求められる。
高知をはじめ島根(石州和紙)や岐阜(美濃和紙)など全国の産地で技術を伝承する職人不足が課題となっている。

いの町紙の博物館(土佐和紙伝統産業会館)

土佐和紙の要となる清流、仁淀川(によどがわ)のほとりに1985年に開館。常設展では和紙の歴史と文化、原料・用具などを展示。手漉き実演・体験コーナー、販売コーナーを備えているほか、企画展・特別展も随時開催。伝統的工芸品「土佐和紙」の振興を図っている。

 

 

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