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Developer Interview開発者インタビュー

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Interview 02

“最速と高画質”実現のために
インクができること

IJ画像処理全般担当
P&Dセンター EL開発部第一Gリーダー: 下村 健二

2009年入社。専門分野はインクジェット画像処理全般(特にカラープロファイル)。
オルフィスEXから開発に携わり、最新機種オルフィスGLの画像処理も担当。オルフィスFT以降の開発ではインクジェット画像リーダーを務める。

ハード(メカ)とサプライ(インク処方)のマッチングの観点から、高速性を担保しながら、きれいな印字品質を保つためにどのような工夫をされてきましたか?

『意見や技術を何度もすり合わせることが1番の近道』

多くの技術によって高速性と印字品質の両立を実現していますが、プリンターの特性に合わせたインク、またインクの特性に合わせたプリンターであることが印刷スピードや印刷品質の向上にとても重要です。特にオルフィスは「油性顔料インク」という特徴的なインクを搭載していますので、この調和が重要になります。例えば、画質へ要求として「濃度」があります。黒はより黒らしくといったことですね。高い濃度を実現するにはインク自体の改善が必要になります。一方で当社は高い濃度のインクはローラーにインクが写り汚れが発生しやすくなります。ですからインクを高濃度にするなら、必ずセットでローラーの改善、さらにはインクの吐出制御まで考え、何度も何度も改良を試みます。これは「濃度」での一例ですが、他の分野でも最終的に1つの製品として価値を出すために、各分野のすり合わせを毎回毎回たくさんやっているんです。高濃度にしたい。それならハードは汚れにくい設計にしよう。インクのほうは少ない量で良い画質を出そう。そうやって各技術分野とすり合わせていくことで、いい製品に到達できるんです。開発の中で、化学、機械、電気、ソフトウェアに至る広範囲な技術の総合力が理想科学の強みだと考えています。他の会社より人数的には少ないですけれど、こじんまりしているからこそ機動的にすり合わせができて開発が進むということが、1つ大きな強みかなと思います。

開発にあたって、一番苦労したことをお聞かせください。

『構成の土台づくりから任された初のカラープロファイル』

初めて開発に携われたのがオルフィスFW・GDからで、カラープロファイルの設計、開発でした。オルフィスFW・GDは理想科学が独自で開発したプリンターです。その際にポイントになったのは、前機種であるEXシリーズよりもコンパクトな筐体であるFWシリーズと、画質・速度を大きく向上させたGDシリーズの同時開発でした。それを実現するために、一つのヘッドから300dpiで2色印字できるヘッドを新規搭載し、オルフィスFWはヘッドを4列から2列に減らすことでコンパクトな筐体を実現しました、一方、オルフィスGDはヘッドを3列にし、5色印刷を実現しました。重要なK色は600dpiにして、他のカラーは300dpiにしよう、余った1色は付加価値を加えられる色を搭載しようという考え方から今の構成に至りました。通常、K色と他のカラーの解像度を変えるということはなかなかしないので、思い切った構成だと思います。ただ当時は5色印刷のカラープロファイル作成に関するノウハウがなかったので、構成の土台づくりからのスタートでした。

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ちなみに5色目でグレーを選んだ理由は?

『議論を重ねてたどり着いた最適な答え』

プラス1色をどうするかを決めるときは、開発内で相当議論がありました。5色目の候補として、最初はブルー、レッド、グリーン、蛍光ピンクなどいろんなアイデアが出ましたが、最終的に落ち着いたのはグレーでした。一般的にフルカラーでグレーを作る時はCMYの掛け合わせで作るので、使うインク量が増えてしまうこともあります。しかも、CMYの打ち込み量のカラーバランスがちょっとズレただけで、本来無彩色のはずのグレーが色づいて見える現象も起きるのですが、プラス1色をグレーにするとそこがすごく安定するんです。そのような工夫があって5色なのに高速性を保ちつつ、画質も向上させ、プリントコストを下げることを実現したというわけです。

  • CMYKは、Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(イエロー)、Keyplate(黒)の頭文字をとって表したものです。

嬉しかったエピソードは?

『目指した製品価値がお客様に喜ばれた瞬間』

自分が胸を張って設計を担当したと言えるものがオルフィスFW・GDのカラープロファイルだったのでそれが製品に搭載された時は嬉しかったです。特にオルフィスGDシリーズは、良い画質の製品を実現することがコンセプトだったので「画質が上がったね」という声を実際に担当営業を通じて、お客様の声をお聞きした時は「ああ、苦労した甲斐があった!」と感慨深い気持ちになりました。

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オルフィスの価値、魅力は何だと思いますか。

『世界最速だけじゃない、お客様目線の多機能性』

一般的なMFP(複合機)と同じようなサイズで世界最速を常に更新していること。それに加え、お客様の用途に応じて、メーリングフィニッシャーやくるみ製本フィニッシャーなど豊富なオプションを設けているのも、1つの大きな魅力だと思います。

今後のオルフィスの進化、開発者としての展望をお聞かせください。

『画質向上でGLシリーズの可能性をさらに広げる』

画像設計に携わってきたので、やはり画質を更に上げていきたいという気持ちが常にありますね。一番最初のオルフィスHCから比べると、今のオルフィスGLシリーズはかなり綺麗な画質に仕上がったとは思いますが、お客様から「もうちょっと画質が上がればこういう用途にも使える」などの声をいただくこともあるので、もっともっと画質を上げてそういった要望にお応えしていきたいなと思います。

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