Developer Interview Developer Interview Developer Interview Developer Interview

Developer Interview開発者インタビュー

Developer Interview Developer Interview Developer Interview Developer Interview
Developer Interview

Interview 03

油性顔料インクの道を極めた
オルフィス独自の開発歴史

油性顔料インク処方設計担当
P&Dセンター SU開発部長付: 遠藤 敏弘

1995年入社。専門分野は油性顔料インク処方設計。初代オルフィスHCから理想科学独自の油性顔料インクの開発に携わる。オルフィスFWⅡ以降、インク設計リーダを務め、初代から全機種の市場品質課題の対応も行う。

油性顔料インク開発に挑戦してきた感想を教えてください。

『油性顔料インクが主力製品に成長した喜び』

オルフィスHCのインクの開発を始めたのは、2001年でした。その当時、オフィス用途での油性顔料インクというのは、まだ世の中にはなく、当時は果たしてお客様に受け入れていただけるインクが作れるだろうか、と思いながら、開発に取り組んでいた記憶が残っています。現在、インクジェットプリンター用の油性顔料インクが当社の主力商品に成長したということは、本当に感慨深いです。

油性顔料インクの品質向上にはどのような課題がありましたか?

『世界最速と美しい発色を両立するインクを開発』

開発で最も注力してきたことは、印刷の画像濃度と発色の向上です。オルフィスのインクは世界最速を実現するため、インクを吐出する穴(ノズル)でインクの液体成分が蒸発しないことが大切です。ところが蒸発しないインクというのは、紙に着弾した後も蒸発しないので、そのまま紙の繊維の内部に浸透してしまいます。そして液体が浸透していく時に、その色の元となる顔料も一緒に紙の内部に流れてしまうため、紙の表面に留まる顔料が少なくなり、濃度や発色性が低下してしまうという課題がありました。そこで、液体成分だけを浸透させて、顔料は紙の表面に残す工夫をしました。具体的には、インクの液滴が紙に着弾した時に、顔料とオイルが分離しやすくなるような顔料分散剤(顔料粒子をオイル中に均一に散らばっている状態にさせる物質)を設計しました。2003年に発売したオルフィスHC5000の印刷物は、発色性が低いといわれることもありましたが、2021年に発売したGLシリーズをお使いのお客様からは、画質がきれいとご評価いただく声も頂き、うれしく思っています。

Developer Interview

開発にあたって、一番苦労したこと、嬉しかったエピソードをお聞かせください。

『海外の厳しい基準への挑戦と達成』

2016年にオルフィスFWを発売したのですが、そのFWはブルーエンジェルというドイツの環境ラベル(日本の環境ラベル「エコマーク」とは画像機器分野で相互認証協定を締結している)を取得するために、インク中に含まれる「VOC」という揮発性の有機溶剤、有機化合物を排除しなければなりませんでした。これは、原材料に不純物として入っている微量なVOCも除去しなければならず、対応するのにとても苦労しました。何度も試行錯誤を重ね、安定して不純物のVOCを除去する方法を構築し、ようやくその試験をクリアできた時は苦労した分、非常に嬉しかったですね。

  • オルフィスFWの欧州仕様ComColorシリーズが当時のブルーエンジェル認定を取得。

環境性能がインクにも求められてきたのは、これが初めてでしたか?

『今も時代に合わせた世界基準へのアップデート』

インク中のミネラルオイルの成分の一部に安全性の低い成分が存在することから、2023年1月からフランスにおいてミネラルオイルの規制がありました。
ミネラルオイルは石油由来のオイル成分で印刷インキに一般的に使用されています。当社の油性顔料インクは全てこの規制に対応できているのですが、この法規制が2025年1月から、さらに強化されることになりました。この法規制に対応するため、ミネラルオイルを排除する検討も始めています。

Developer Interview

最初に油性インクを使おうと思ったきっかけは?

『高速フルカラー印刷の実現のために』

オルフィスの開発が始まる数年前、研究開発部門では、デジタル印刷機で高速フルカラー印刷を実現するという取り組みがありましたが、技術的な難易度が高く断念しました。その後、インクジェット方式の高速フルカラープリンターの開発に動き出しました。高速フルカラー印刷を実現するためには、インクジェットのプリントヘッドを固定し、高速で紙を通すため、求められるインクは、ノズルで乾燥しにくいこと、印刷後に紙が変形しないことでした。これらを実現するために、油性インクが最適だったのです。

今後のオルフィスの進化、開発者としての展望をお聞かせください。

『終わりなき画質へのこだわり』

画像の濃度と発色に関しては、更に進化させていきたいです。また「環境」というキーワードでは、現在よりも、さらにサスティナブルなものにしていきたいです。例えば、現在のオルフィスインクは、オイルの一部に植物由来のものを使用していますが、植物由来の原料の比率を高めていくことなどにも積極的にトライしていきたいと考えています。

Developer Interview

Other Interviewその他開発者インタビュー

インタビュートップへ戻る