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高速用紙搬送技術

ORPHIS × RISOGRAPH 理想科学のコア技術

理想科学の3つのコア技術をご紹介します。

高速用紙搬送技術

1980年(昭和55年)、複写機のような使い勝手の印刷機が登場したと、新聞で大きく報じられた新製品がありました。それが「大量・高速印刷」のメリットを掲げた全自動の孔版印刷機「リソグラフ」です。リソグラフで培われた「高速用紙搬送技術」は高速カラープリンター「オルフィス」へも受け継がれ、長きにわたり、理想科学のコア技術の1つとして進化し続けてきました。

ここでは、高速用紙搬送にまつわる技術をご紹介します。

オルフィス(インクジェット方式)への応用

スピードと精度の両方を高めるために、速く正しく紙を送る

「オルフィス」はA3ワイド用紙の短辺を一度に印字できる316mm幅のライン型インクジェット印字ヘッドを4または5色並列に配置し、高速で搬送する用紙にインク滴を着弾。フルカラーを高速処理するプリンターです。

印字ヘッドは用紙に直接接触しないので、印字ヘッドからのインク吐出と用紙搬送のタイミングがずれると、画像をきれいに印刷できません。オルフィスの最大の特長である「世界最速」*のプリント、そのスピードには正確な用紙搬送が関係しています。

オルフィスは、印刷後の後処理加工を効率化するフィニッシャーを接続できます。プリンター部とフィニッシャー間の紙送りのスピードやタイミングを緻密に制御しながら、ページ物印刷、小冊子印刷、封書作成や製本など、さまざまな後処理加工を高速にワンストップで行うことができます。

印字ヘッド動画

  • *オルフィスGL9730プレミアム/GL9730/GL9731の場合。A4普通紙片面横送り、標準設定連続プリント、GDフェイスダウン排紙トレイ使用時。オフィス用カラープリンターにおいて世界最速(データ・サプライ調べ:2023年3月現在)。

速度と正確性を高めた搬送技術を、複雑な後処理加工に応用

印刷ムラの少ない高速プリントを

用紙は、印字ヘッド下で回転している搬送ベルトにより搬送されます。搬送中の送りムラは画質に大きく影響を与えるため、搬送ベルトの速度と印字ヘッドの吐出動作を同期。1ライン(1画素)ごとのインク滴吐出タイミングを補正することで印刷ムラを軽減、画質を向上させます。

生産性を向上させる紙送りとは

高速印刷による生産性の向上は、印字ヘッドの下へ次々に送られる用紙の間隔を短くすることで実現しています。用紙の種類やサイズに関わらず、用紙への負荷をなるべくかけずに一定の間隔を保つよう、きめ細かく制御しています。

そのため、オルフィスには多数のセンサーを使用。ローラーの回転速度や用紙の有無、重なりなどを細かく検知して、用紙搬送中の遅れや進みが発生しても、センサーが検知し即時補正します。

オルフィスの用紙搬送機構

さらに複雑な用紙搬送に応用

オルフィス(GLシリーズ)は、さまざまな後処理加工を効率化し、お客様のビジネスの可能性を広げます。プリントから封入封かんまで自動で行える「メーリングフィニッシャー」、製本まで自動化する「くるみ製本フィニッシャー」など、仕上げまでワンストップで行える多彩なオプションをご用意。複雑な経路での用紙搬送技術が必要となるこれらの後処理装置を製品化しました。

  • メーリングフィニッシャー
  • くるみ製本フィニッシャー

確かな搬送技術で世界最速のスピードを実現

多数のセンサーによる搬送状況の把握とタイミングの自動調整、紙に負荷をかけない搬送制御、紙送り間隔の短縮など、さまざまな技術で、オルフィスは世界最速 毎分165枚*の片面フルカラープリント、毎分82枚*の両面フルカラープリントを安定した画質で実現しています。

  • *オルフィスGL9730プレミアム/GL9730/GL9731の場合。A4普通紙片面横送り、標準設定連続プリント、GDフェイスダウン排紙トレイ使用時。オフィス用カラープリンターにおいて世界最速(データ・サプライ調べ:2023年3月現在)。

165枚/分のプリントスピード(インクジェット)

リソグラフ(孔版印刷方式)への応用

高速で安定した印刷品質の実現

スピードに合わせたプレス圧で一定の印刷品質を

リソグラフは用紙種類に合わせて数段階の印刷スピード調整が可能です。印刷スピードが速いときはプレス圧を強くし、遅いときはプレス圧を弱めて、インクの転移量を調整し、いつでも一定の印刷品質を保てるよう工夫をしています。

「リソグラフ」で用いられている孔版印刷は、印刷ドラムに巻きつけた印刷の元となる版に“孔(あな)”を開け(製版)、そのドラムを回転させることで供給したインクをプレスローラーにより版に押し付けることで用紙に転写して印刷する仕組みです。

高速印刷するためには、転写後、ドラムに付着した用紙をすばやくはがし、速やかに排紙台へ送り出す必要があります。そこでリソグラフは、「プレサクション機構」*を採用。剥離ツメで用紙の先端をわずかにはがし、ドラムと用紙の間に風を送り込むと同時に用紙を下方向へ吸引。瞬時に用紙をはがすことができます。インクを均一に転写でき、ムラのない、きれいなベタ面の印刷が可能です。

  • *リソグラフSF939/SF939Gに搭載

プレサクション機構

用紙をきれいに揃えて排紙

プリント終了後の用紙を簡単に取り出せれば、ユーザーはその次の工程にスムーズに移ることができます。そのためには用紙を揃えて排紙する必要があります。排紙台の排紙フェンスについた「ドミノ」機構の紙揃えプレートとV字型の底部で、高速で排紙された用紙を揃えながら整然と排紙台に積載します。

「ドミノ」機構

最高スピードの実現とともに、幅広い用紙にも柔軟に対応

高速に用紙搬送する技術を向上させていくことで、最高190枚/分*1の単色印刷、100枚/分での同時両面印刷*2、150枚/分での同時2色印刷*3を実現しました。給紙台から排紙台に向けてストレートに排紙するシンプルな構造なので、のし紙などの薄紙、学校で使用されるザラ紙、表彰状などの厚紙やハガキ、封筒など、幅広い紙質・厚さの用紙に対応します。

印刷後の丁合、紙折などさまざまな後処理工程をスムーズに行えるように、紙揃えにも改良を重ねています。

  • *1リソグラフSF939/SF939Gの場合。ドラム内部の温度が15℃以上。
  • *2リソグラフMF935Wの場合
  • *3リソグラフMFシリーズの場合

190枚/分のプリントスピード(孔版)

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