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33組のアーティストが参加する リソグラフの展示会「RISO IS IT」
2020年6月1日(月)〜7月3日(金)、渋谷パルコのギャラリー「OIL by 美術手帖」で開催された「RISO IS IT」。33組のアーティストがリソグラフで製作して作品「RISO ART」を展示したイベントです。各作品とも20エディション限定で販売されました。
開催のきっかけは、美術手帖の林里佐子さんと、リソグラフ作品のギャラリーや印刷スタジオを運営するFL田SH(フレッシュ)の高田光さんとの出会いからでした。林さんは「個人的にリソグラフには魅力を感じていましたし、ギャラリーを運営しているFL田SHに『OIL by 美術手帖』に関わってもらったら、とても面白い展示になるんじゃないかとワクワクしました」と話します。
FL田SHが企画全体をディレクションし、美術手帖とFL田SHがそれぞれ作家に出展を依頼。中には刺繍作家や写真家、ストリートアーティストなど、リソグラフ未経験の人もおり、リソグラフでどんな作品ができるのか楽しみだったそうです。
リソグラフの作品は作家とスタジオとのコラボレーション
プリントを請け負ったのは、FL田SHを含め3つのリソグラフ印刷スタジオです。作家と一緒に表現について検討を繰り返し、各版をどう分版するか、どんな色を重ねればよいかなど、プロの視点から彼らの求める表現を実現できるようアドバイスしながら仕上げていきました。通常の作品作りでは作家自身が仕上げをすることが多いと思いますが、今回は各スタジオが責任を持って最終仕上げを請け負うスタイル。作家はスタジオとのコラボレーションを新たな挑戦として楽しんでくださったようです。また、色味や線画などの再現性の高さも好評でした。
「製作中は印刷に集中していたので客観視できない部分があったんですけど、こうして並ぶと作家さんの個性たっぷりで楽しいですね!」と高田さん。一方、FL田SHの吉田さんは、「各々の質感の違いを楽しんでほしい。リソグラフの表現の幅を感じてもらえたらうれしいです」と話します。
「家にお気に入りのアート作品があるのは、とても楽しいことです。リソグラフの作品はインテリアとして飾りやすいし、価格的にも手が届きやすいところがいいですよね」と林さん。
表現力と大衆性が江戸時代の浮世絵のよう
「版を重ねて細やかな表現ができるところは日本独自の版画である浮世絵に通じますし、海外では数多くのリソグラフスタジオがあって身近な存在なのも、江戸時代の浮世絵と共通していると思います。表現力と大衆性という視点から、リソグラフ作品も浮世絵と同様に評価される可能性があると感じています」と吉田さん。高田さんも「リソグラフには頑丈で壊れにくい所にフィジカルの強さを感じます。そして誰でも手軽に作品作りができるのがリソグラフの良さ。多くの方に気軽に使ってもらえる機会を増やしていきたいですね」と話しました。そして「今回、リソグラフの魅力を再認識しました」と林さん。リソグラフの展示イベントを毎年、できればシーズンごとに開催したい、いずれはアーティスト100人規模で、と意気込みを語ってくれました。
ストリートアート、写真、ペインティング、刺繍など様々なジャンルのアーティストが賛同し、新進気鋭の若手から、海外で活躍する著名アーティストまで参加。普段の作品とは一味違う、味わい深い仕上がりのアートプリントを展示。
ギャラリー併設のショップでは、リソグラフで印刷された自費制作冊子「ZINE」も販売されている。
「リソグラフ」と、小型スクリーン製版機「MiScreen a4」を展示。紙の印刷 他、布への印刷も紹介。「『MiScreen a4』は直感的に操作でき、本当に製版が簡単。布印刷のアイディアが広がりますね」と高田さん。