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『Exploriso: Low-tech Fine Art』リソグラフの技術書籍刊行イベント開催

2021年4月6日(火)〜27日(火)まで、東京都渋谷区の代官山 蔦屋書店でブックフェアとイベントを合わせた「Exploriso」が開催されました。座学の勉強会とワークショップ、アーティストによる公開制作と販売が行われた4月17日(土)に会場を訪れ、お話を伺いました。



リソグラフ関連本の出版を記念し、複合的なイベントを開催 

代官山 蔦屋書店は、幅広いジャンルの本や雑誌などを揃え、イベントスペースも設けた複合書店。その建築・デザインフロアで、「Exploriso」が開催されました。「アートブックのディストリビューターをされているtwelvebooksさんから、ドイツの出版社が『Exploriso: Low-tech Fine Art』を出版するとご紹介いただいたのが企画のはじまりでした」と同店でデザイン コンシェルジュを務める籔田千晴さん。「この書籍は上級者向けの専門書なので、多くの方にフェアとして楽しんでいただくためにワークショップを併催することにしました。リソグラフについて勉強する座学を加え、座学+ワークショップ、公開制作+販売という複合的なイベントになりました」。

籔田 千晴さん 籔田 千晴さん

リソグラフを学んで制作に挑む 勉強会+ワークショップ

勉強会のテーマは、1回目が「ローテックプリント:印刷のたのしみ」、2回目となる今回は「カラーノーテーション:色のつくりかた」です。講師は多摩美術大学情報デザイン学科の永原康史教授が務め、進行や印刷などはHand Saw Pressの安藤僚子さんと菅野信介さんが行いました。永原教授は、物理学者として知られるニュートンや詩人として知られるゲーテ、画家のマンセルらの色を理解するための取り組みについて話しながら、光の色の三原色などをわかりやすく解説。「色を使う上では、頭の中にカラーパレットを置くことが大切」などの言葉に、参加者は真剣に耳を傾けていました。そして印刷に必要な分版について学んだ後、いよいよワークショップに挑戦。花のモチーフを使い、赤、青、黄色の三色を重ねて表現しました。版を重ねるごと「わぁー!」「あれ?」など声が上がります。永原教授は、「リソグラフは、シンプルな仕組みの印刷機です。これを使って複雑なものにチャレンジするところに面白さがあると思います。さまざまな工夫がしやすいところや始める敷居の低さが魅力です」と話しました。菅野さんは「リソグラフの良さを深く理解してもらうため、印刷の仕組みや色のつくりかたについて、きちんと言葉にするワークショップを続けたいと感じました」、安藤さんは「海外を含めたリソグラフのスタジオ同士をオンラインで結び、遠隔で作品を作ることに取り組んでみたいです」と今後の展望を話してくれました。

永原 康史教授 永原 康史教授
菅野 信介さん 菅野 信介さん
安藤 僚子さん

安藤 僚子さん

リソグラフ勉強会では、花のモチーフを使って原稿作りを学んだ。参加者はブライトレッド、イエロー、ミディアムブルーを使いリソグラフで3色印刷に挑戦した。

参加者は、「最近、リソグラフに興味を持ったので参加しました」「実際に使うことができて嬉しかったです」「思い通りにならないところもありますが、それがまた面白いですね」と話した。

リソグラフの良さを知るクリエーターが公開制作に挑戦!

勉強会+ワークショップのあとは、クリエーターによる公開制作+販売の時間です。この日、参加したクリエーターは、加瀬透さん、本田千尋さん、大田拓未さん、anccoさんの4人。「公開の場で制作するのは緊張しますね」と言いながら、PCやタブレットを使って画像を作成し、リソグラフの発色の具合を確かめながら、作品を仕上げていきました。来店されたお客様はリソグラフでの印刷を興味深そうに眺めたりされていました。籔田さんは、「多くのお客様に足を止めていただき、想像以上に活気のあるフェアになりました。今回はポスターの公開制作でしたが、弊店は書店ですから、ゆくゆくはリソグラフで印刷し製本まで行って一冊仕上げるというようなイベントもやってみたいですね」と語ってくれました。

クリエーターによる公開制作の様子。お揃いのブルゾンを着て会場に集まった。

クリエーターが会場で公開制作したリソグラフポスターが販売された。参加したクリエーターから「その場で印刷できるスピード感とか色の発色の良さはテンションが上がるところですね」の感想。

「代官山 蔦屋書店」 Twitter:@DAIKANYAMATSITE 「代官山 蔦屋書店」 Twitter:@DAIKANYAMATSITE

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