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「TOKYO ART BOOK FAIR 2022」に理想科学が協賛 海外アーティストによるワークショップも好評
近年、世界各国のアーティストたちの間で、色の組み合わせを楽しんだり、薄い紙に刷ることができるデジタル印刷機「リソグラフ」が人気を博しています。理想科学は2022 年10 月の「TOKYO ART BOOK FAIR 2022」に協賛し、「リソグラフ」やデジタル製版機「GOCCOPRO」、小型スクリーン製版機「MiScreen a4」を提供。また、現在のリソグラフシーンを牽引するノルウェーとオランダのスタジオを招聘し、東京を拠点とするリソグラフスタジオ「Hand Saw Press」が企画する特別プログラムを展開しました。
世界中で盛り上がるアートブックシーンと足並みを揃えるように歩んできたフェア
TOKYO ART BOOK FAIR は、2009 年にスタートした、アート出版に特化したアジア最大級のブックフェア。個性豊かなアートブック、カタログ、アーティストブック、ZINE などを出版するアーティストや出版社が一堂に会するイベントです。
2015 年から運営に携わっているディレクターの中島佑介さんは、「元々は来場者として来場していて、出版にまつわる熱量を感じることができる貴重な場だと感じていました。一方で、当時はどちらかというと国内の表現者が中心だったので、もう少し国際色のあるブックフェアになったらいいなという気持ちがありました。そこで僕が携わることを契機に、海外のアーティストにも参加してもらい、紹介する作家や作品の幅を広げるように努めてきました」と話します。
「本は、もともと情報を伝えるためのメディアとしての機能が大きかったのが2000 年代に入ってインターネットが発達して、単なるメディアではなくなり、本そのものが表現になってきました。
そして、いち早く気づいたアーティストたちが積極的に携わるようになったのが2010 年代。また、デジタルからの反動かもしれませんが、アナログな本という表現に興味を持つ若い世代が出てきたりして、アートブックというシーンが世界中で盛り上がり始め、そうした動きと足並みを揃えるようにアートブックフェアは歩んできたと思います。
今年は、海外から多く出展し、海外のアーティストやカメラマンなども来場されたそうです。そうした方たちにTOKYO ART BOOK FAIR を一つの発表の場所として捉えてもらえるようにしていきたいと語ってくれました。
小さい頃から本を通じてアートに触れればアートの楽しみ方がより自由になる
開催中のイベントは年々変化をしており、今年は子ども向けイベントが増えたと言います。
「初期から参加してくれている人が親になり、子ども連れで来場するようになりました。子どもたちが新しい来場者となってきたことで、次第に子ども向けのコンテンツが増えてきたのですが、今年は特に多いですね。
大人の方の中には、アートに対して少し敷居を高く感じてしまう人がいると思うのですが、それは触れる機会が少なかったという理由もあるのではないかと思います。ですから、子どもたちが本を通じてアートに触れることで、彼らのアートの楽しみ方がより自由になるのではないかと思います」と中島さん。
会期中には、リソグラフを活用する多くのアーティストが参加していました。
「リソグラフは、気軽に使うことができる表現手段です。また、多色刷りしたときにインクが完璧に重なりきらず、意図していない表現になることがあります。それを面白いと捉えるアーティストが結構多い。このことが、リソグラフを使って印刷物としてどんな新しい表現を作ろうかという思考につながるのですね。ですから、リソグラフとアートブックはとても親和性があると思っています」。
少しずつ変化をし、進化をし続ける「TOKYO ART BOOK FAIR」。来年はどんなアーティストが参加されるか、そしてどんなふうにリソグラフなどを使ってくださるか。今からとても楽しみです。
理想科学は「リソグラフ特別企画:Risopionneers」に協力
東京を拠点とするリソグラフスタジオ「Hand Saw Press」が企画した特別プログラム「リソグラフ特別企画:Risopionneers」では、展示と上映会、ワークショップを行いました。
展示は3つ。ノルウェーの「Pamflett」とオランダの「Knust press」、そしてリソグラフの歴史写真です。
ノルウェーでは複数の小さなスタジオがリソグラフなどの機器や情報を共有し、協力しあいながら国外のアートブックシーンとつながりを持っていますが、「Pamflett」はその中心的な存在。独自にアートブックフェアも開催しています。今回のTOKYO ART BOOK FAIR では、自身の作品に加え、さまざまなスタジオの作品を展示しました。
オランダの「Knust press」はリソグラフ界におけるレジェンド的な存在。また、ニューヨーク近代美術館などにも作品がコレクションされ、スタートから30 年以上経つ今も先駆者であり、若いアーティストたちを魅了し続けています。
そして、「リソグラフの歴史写真展」では、1946年に謄写印刷業として創業後、インクや製版機の開発を経て、1980 年にリソグラフを誕生させた。
その開発記録を写真で振り返りました。国内外のリソグラフファンが足を運び、熱心に見ていました。理想科学に共感を深めてくれたことを実感しました。
また、1980 年代にスクウォット運動の中で設立された「Knust press」を追うドキュメンタリー映画を上映。上映後には、初来日した創業者のヤン・ダーク・デ・ワイルドさんのトークもありました。
「リソグラフ」、「MiScreen a4」のワークショップを実施
「リソグラフ」のワークショップを実施
ワークショップは「Hand Saw Press」と「Pamflett」が協力。ノルウエーのイラストレーターのオーシル・カンスタ・ヨンセンさんが講師となり、リソグラフを使った子ども向けワークショップを行い、オリジナルのZINE を作りました。
「子どもたちはみんな、とても創造的です。驚いたこともたくさんありますし、何より楽しかったです。よい刺激をたくさんもらいました」とオーシルさん。
「MiScreen a4」のワークショップを実施
また、同じくノルウエーのファッションデザイナー、シブ・ストルダルさんとT シャツを作成するワークショップも実施。参加者はオーシルさんのイラストをその場でコラージュして「MiScreen a4」で製版し、シブさんデザインのTシャツにプリントしました。彼女たちが持参したシルバーのラメ入りインクも大好評でした。
彼女たちと数々のワークショップを行っている「Pamflett」代表のアン・クリスティン・スタロンさんは、「今日は理想科学やハンドソープレスとコラボレーションしたワークショップができて楽しかったです。ノルウエーのアーティストたちのリソグラフ作品も展示して、たくさんの方に見ていただけたことも嬉しく思います」と話しました。
出展者に聞いた「リソグラフ」の魅力
TABF に参加して10 年くらいになります。リソグラフは、複製なのに少し原画に近い感じが出てくれます。意図していない色になることもあり、色をコントロールしきれない感覚がいいと思っています。毎回、どんな色になるのか、ワクワクしています。
リソグラフは、他のプリンターでは出せない、独特の風合いが魅力ですね。
インドネシアで出版をしています。TABF は3回めの参加。東南アジアのクリエーターたちとリソグラフを使って、さまざまな作品作りをしています。
リソグラフは自由度が高く、印刷に詳しくなくてもさまざまな表現ができますね。ここ2〜3年、リソグラフを使ってZINE を作りたいという依頼が増えています。
インクの色が選びやすく、自分たちで実験のし甲斐があります。この色にこの色を重ねてみよう、とか試しています。