学校の教材やチラシ印刷などに多く使われるリソグラフだが、実はその表現力に注目するユーザーも多い。
アーティストとして活躍する緒方数馬さんに、リソグラフの“アート”な魅力について話をうかがった。
16(Sixteen)の店内。周辺には観光客も多く、ふらりと立ち寄る外国人旅行者も多いのだとか。
レトロな味わいを表現できるのはリソグラフだけ
ジン(zine)とは何かご存じだろうか。語源はマガジン(magazine)で、個人・集団問わず、作品や世界観を表現するために自主制作する少部数の印刷物のことだ。もとは欧米のストリートカルチャーから派生したとされるが、近年は日本でも人気が高まっており、個人や趣味のグループなどでジン制作を楽しむ人が増えている。
そのジンを表現手段のひとつとしているのが、アーティストの緒方数馬さんだ。日用品などユニークな素材を用いた彫刻を制作、ギャラリーやSNSで発表するほか、写真作品を時折ジンにまとめては配布しているという。
創作活動の一方、欧米のファッションブランドのPR部署に勤務する緒方さんは、昨年、会社の新事業として、アパレルや書籍を販売、またギャラリーとしても活用できるショップの運営を提案。「16(Sixteen)」の店名で開店して以来、書籍のバイイングや展示・イベント企画を担っている。「最初からこだわったのがリソグラフの設置です。アーティスト仲間は皆、ジンの印刷に昔からリソグラフを愛用していますが、なかなか個人で自由に使える環境がなく苦労している。ジンをはじめフライヤーやポスターなどを気軽に刷る場として活用してもらえたら、彼らの交流スペースにもできる。若いアーティストたちによる情報発信や共有、表現活動を後押しできれば最高ですね」と緒方さんは話す。
彼らがリソグラフを支持する最大の理由は孔版印刷の特長を生かした”レトロ印刷“の表現力。「版画のような味わいと、重ねて刷った際の発色の面白さもある。特色が使えるのも4色のトナー印刷にはない魅力。自分だけの個性が表現できます」と緒方さん。リソグラフで刷った作品を見て、「どうやって印刷したんですか?」と興味津々に聞いてくる人もいるという。若きアーティストたちのクリエーティビティを刺激するリソグラフという存在。ここからどんな新しいカルチャーが生まれていくのか、注目したい。
16(Sixteen)
2017年9月にオープンした、株式会社ジャックが運営するギャラリースペースを併設したショップ。東京・渋谷のメインストリートである明治通りと、アパレルをはじめとするユニークなショップが連なるキャットストリートに挟まれたロケーションで、まさに若者カルチャーの心臓部に位置する。
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-19-15
https://www.instagram.com/16shibuya/
お話をうかがった緒方数馬さん。
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リソグラフの表現力を最大限活用していただき嬉しく思います。今後、ご利用の多い教材用途以外でも、お客様に活用していただけたらいいですね。