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「理想の詩」創り出す人々(2017年秋号)

紙ヒコーキは夢を乗せて

作品から飛び出してくる色彩の奔流

 見た瞬間、赤・黄・青の原色が光速で目に飛び込んでくる。絵画、浴衣、Tシャツ、オブジェ。ショウジョノトモさんの作品を見る者は、作品の形を超えて外にあふれ出てくる色彩の奔流に、圧倒されてしまうだろう。
 見方によっては、1960年代後半に一世を風靡したサイケデリック・アートを彷彿とさせる、刺激的なテイスト。しかし、彼女自身は、「サイケ」も「刺激」も、特に意識はしていないようだ。 「私の作品を見て、パワフルやエネルギッシュと評する人が少なくありません。そう見えるのは、私の中にある『思い』の強さが、作品として爆発しているからでしょう。浴衣にしても、傷つくのが怖いから恋愛しないという現代の若者に、恋愛をしようというメッセージを込めてつくったもの。『この浴衣を着た男女がハイな気分になって、素敵な恋愛をしてくれればいいな』という思いを込めています」
 幼い頃から、「モノ」には特別の思い入れがあった。道ばたでいろいろなゴミを拾ってきては、そのゴミを主人公にした物語を夢想する、ちょっと変わった子どもでもあった。 「台風が通り過ぎていった翌日の、いろいろなものが落ちている道を見るのが好きなんです。このゴミはきっと、こんなところから飛んできたに違いない……。心などあるはずもないゴミに、そうやって自分の気持ちや思いを乗せて、妄想を膨らませるのは、とても楽しかったですね」

何かを創作することで自分自身も癒やされる

 ショウジョノトモさんが作品づくりのテーマとしているのが「永遠の子どもの魂の解放」。そのためには「SKINSHIP BURNY(火傷するほど愛して)」が必要と彼女は言い、「スキンシップ」をキーワードにした作品を発表している。たとえば、「DOUBLE T-SHIRT」は、スキンシップなくしては着ることができず、まさに彼女の考えを反映したものといえるだろう。 「スキンシップは私にとって重要な言葉で、親子や、私と私の作品を見てくれる人との間のコミュニケーションにも欠かせないものと考えています。私自身は小さい頃から、親を笑わせることばかり考えている子どもでした。いまでも、人の心を動かすことが一番楽しい。私の作品を通して、一人でも多くの人の感情を動かすことができたらいいなと考えています。どんな感情を抱くかは見る人の自由だけど、できれば、何かしらポジティブな感情であってほしいですね。また私自身、何か創作することで『癒やされている』ことを実感しています」
 独特の色彩感覚を持つショウジョノトモさんだが、以前から黒と黄色の“道路工事柄”が大好きで、最近、進入防止用のコーンバー(黄・黒)を通販で購入したほど。その関連で、“働くクルマ”も大好きだという。特に気になっているのは、彼女が地球を「彫刻する」道具というショベルカーや“ザリガニ”の異名を持つ双腕作業機など。 「いつかは、働くクルマとのコラボレーションや、巨大モニュメントの建造なんかを企画してみたいですね」


ショウジョノトモ

「SKINSHIP BURNY」をコンセプトに国内外で表現活動を行う現代アーティスト。この造語は愛情確認ができないと自身の熱で燃え尽きるという「アダルトチルドレン」の比喩であり自身の原動力でもある。2009-11スウェーデン(kimono fusion)招待展。2013CRAZY KAWAII in PARISの代表作家。2014江戸東京博物館にて、2人で着る「DOUBLE T‐SHIRT」ショー。2015「恋愛しない現代の日本人」に向け「浴衣と祭り」をニューヨーク、2017ベルギーにて発表。2011-13アメリカのラッパーNICKI MINAJへの衣装提供を機に幅広い海外認知も得た。

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