1990年代後半、オフィスで使われるプリンターはモノクロが主流でした。カラープリンターの出力単価は高く、まだまだ手の届かない存在だったのです。もっと気軽にカラーを使えるようにしたい。そんな思いから生まれたのが「オルフィスHC5000」でした。
独自のカラープリンターを
すでに家庭用のプリントゴッコでフルカラー印刷を実現した理想科学にとって、オフィスプリンターのカラー化はかねてからのテーマの一つでした。研究を進める中で、大きなヒントに出合います。それはオリンパス株式会社によるインクジェットの試作機。CMYK4色を並列に配置し一度にインクを吐出させることで、用紙の幅に瞬時に印刷できるというライン型インクジェット印字ヘッドを採用したものでした。
この印字ヘッドの技術とリソグラフで培った高速用紙搬送技術とを融合させれば、いままでにない高速カラープリンターができる。両社は技術を持ち寄りインクジェットカラープリンターの開発を進めることになりました。
いくつものハードルを乗り越えて
理想科学は、波打ちなどの用紙変形が少なく、高速性能を最大限に発揮できる油性顔料インクに着目しました。とはいえ、扱いやすい水性インクが主流の業界で、誰も手がけたことのないプリンター用油性顔料インクの開発はまさにゼロからの挑戦。安定した品質を保ち、耐水性に優れた油性顔料インクでしたが、いくつもの課題がありました。発色を良くすること、高速で送られる用紙にタイミング良く印字ヘッドからインクを吐出させること、用紙の種類にかかわらず原稿の見た目の色に近づける色味調整の実現など。
こうしたハードルを、苦労を重ねて乗り越え、ようやく製品化にこぎつけたのです。
世界最速を守り続ける
その後オリンパス社との共同開発は発展的に解消。そして、2003年のオルフィス発売以来、理想科学は*世界最速のプリントスピードを更新し続けています。オフィスのプリントワークにおいて最適なソリューションを提供するための挑戦は今後も続きます。
オルフィスHC5000誕生
2003年秋、理想科学は高速カラープリンター「オルフィスHC50000」を発表。発表会に集まった人々は、世界最速のスピードに目を見張り、モノクロ並みの圧倒的なコストパフォーマンスに驚嘆した。
高速で正確な用紙搬送技術
高速印刷を可能にしているのは、印字ヘッドの下へ送られてくる用紙と次の用紙の間隔をぎりぎりまで詰めていく工夫。多数のセンサーを駆使して細かく制御することで、用紙の種類、サイズにかかわらずその間隔を保てる。用紙搬送が遅れたり進んだりしても、即座に補正ができる。
高速印刷に最適な油性顔料インク
水性インクだと印刷直後に用紙が水を吸収し、用紙がカールするなどして、用紙搬送の際にしわが入りやすくなる。一方油性インクは印刷直後の用紙の変形がないため、スムーズな用紙搬送が可能だ。
つねに進化を続けるオルフィス多彩なオプションで最適な印刷ソリューションを
現在発売しているオルフィスEXは、毎分150枚という世界最速のプリントスピードと、多彩なオプションによる高い拡張性を誇ります。
オプションの一つ、3つ折り文書印刷・封書作成が自動化できる「ORメーリングフィニッシャー」の開発では、世界最速のスピードを損なうことなく、いかに高品質な折り、正確な封入と封かん時の糊の接着ができるかに苦心しました。また、薄くて軽い専用紙を開発できれば、封書の郵便料金を抑える提案も可能。コシのない薄紙の用紙搬送は難しい技術でしたが、試行錯誤の末開発に成功しました。本体の高速性を生かした多彩なオプションを実現でき嬉しく思います。これからもお客様の多様なニーズにお応えできる、最適な印刷ソリューションを提供していきます。
*オルフィスEX9050/EX9000の場合。A4普通紙片面横送り、標準設定連続プリント、EXフェイスダウン排紙トレイ使用時。
2015年2月現在販売の枚葉(カット紙)オフィス用カラープリンターにおいて世界最速(当社調べ)。
開発本部 P&Dセンター 片田 和宏
世界に類のないものがたりのおすすめ記事ランキング
『理想の詩』をお届けします。
本誌の定期送付(無料)をご希望の方は、ホームページの講読申し込みフォームまたは、ハガキに郵便番号、住所(希望送付先* 日本国内に限ります)、氏名(フリガナ)、電話番号をご記入の上、下記までお申し込みください。
・お申し込み先(ハガキ) 〒108-8385 東京都港区芝5-34-7 田町センタービル 理想科学工業株式会社 広報部『理想の詩』編集係 |