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防災への思い新たに非常時に備える印刷体制

教育現場では、昨年の東日本大震災をきっかけに災害時における紙の情報発信力があらためて注目されているという。
17年前の震災の記憶が風化しつつあるという神戸の地で松蔭中学校・高等学校の取り組みについてうかがった。

毎年、阪神淡路大震災のあった1月17日の朝には全校生徒に対して放送礼拝が行われ、さらに放課後には希望者による礼拝がチャペルと祈念樹(写真中央)前で行われる。

非常時における紙媒体の力は大きい

 青空のもと、櫂の木のかたわらで談笑する女子学生。この木は、阪神淡路大震災の10年後、犠牲者の冥福を祈念し植樹された。神戸市灘区に位置する松蔭中学校・高等学校では、現在も震災があった1月17日に、祈念樹前で毎年希望者による礼拝が行われている。芳田副校長は、「辛い体験は忘れたいという思いもありますが、過去に何があったかを知り、学び、今後何をすべきかを私たちは考えなければならないと思っております」と話す。
 東日本大震災の際に学校現場で何が本当に役立ったかという話を東北や関東の先生方に聞いた同副校長は、紙媒体の重要性を思い知らされたという。生徒の安否を確認するにも、停電下ではパソコンのデータベースは参照できないため、印刷された名簿が頼りとなる。またテレビもラジオもインターネットもない中、唯一の情報メディアは、紙媒体だけだった。非常時における生徒の安全を確保するためには、物資の備蓄だけでなく、情報インフラの備えも欠かせないということを、芳田副校長は再認識しているという。

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日頃から校内の照明を最小限に抑えるなど節電対策を実施。自然採光を生かした体育館。

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風力・太陽光発電なども採用。

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災害救援自動販売機を校内に5台設置。非常時には計3000本の飲料を生徒に無料提供できるようになっている。

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25年の賞味期間を持つ食糧に、災害用アルミ毛布などの備蓄も進む。

 そして今夏、同校が導入したのは、RISOピークシフト・プリント・システム。これは、夜間に蓄電した電力を昼間の印刷機稼働に充てるというもので、電力需要ピーク時の節電対策に有効なだけでなく、万が一災害などで停電が起こっても、約4時間、3万枚にのぼる印刷が可能となる。非常時、生徒に対して情報発信する必要性が生じても、約1100人の全生徒分の印刷は十分まかなえる。
 現在の高校3年生は、阪神淡路大震災発生の前後に生まれた子どもたちだ。復興とともに、人や街に刻まれた震災の記憶は少しずつ遠のいていく。「昨年の大震災で、あらためて防災教育の必要性を感じました。今後、災害時に何を最優先して印刷すべきか精査し、備えていきたいですね」。防災への思いを新たにし、震災の記憶と教訓を次世代へ伝えていく取り組みは続く。

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RISOピークシフト・プリント・システムとは、リソグラフに電源装置を装着し、夜間に蓄電した電力を昼間の使用に充てるシステム。昼間の電力利用ピーク時の節電に貢献できるほか、停電時でも約4時間、3万枚の印刷が可能です。

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リソグラフRZ670の架台部に電源装置をセットした「RISOピークシフト・プリント・システム」。

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夜間(約12時間)蓄電すると日中の印刷に必要な電力をまかなえる。充電時間中や、バッテリー残量がなくなった場合はAC電源で印刷可能。

芳田克巳副校長
学校法人 松蔭女学院
松蔭中学校・高等学校

神戸市灘区に位置し、今年で創立120周年を迎えるミッション系の中高一貫女子校。中高合わせて約1100人が学ぶ。進路が決定した高校3年生を対象にBlue Earth Projectという社会貢献型キャリア教育を行っており、ウォームビズや水事情改善の訴えなどを通じ、生徒が地球環境保全のためのさまざまな啓発プロジェクトに携わっている。

理想科学工業株式会社
理想神戸支店 営業課 比嘉泰史

「災害はいつどこで起こるかわかりません。防災面での有効性を今後も伝えていきたいと思います」

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