平成25年5月、茨城県つくば市に理想科学の新しい開発棟が誕生した。開発関連部門の担当者が集結する開発新棟では、コミュニケーションの深化によるシナジー効果が期待されている。開発新棟の意義と、これまで数々の画期的な製品を生み出してきた理想科学を貫く開発スピリットを紹介する。
つくば市から世界へ 新たな一手を「理想開発センター」から
茨城県つくば市のつくばエクスプレス研究学園駅近くに開設された「理想開発センター」。これまで各地に分散していた理想科学の開発関連部門が、日本の産学連携のメッカとして研究開発機関が集まるつくば市に集約されることになった。
「ただ集まるだけでなく、各部署が互いにコミュニケーションをとりやすくなるよう設計にこだわりました。見通しのよい空間設計によってほかの部署の様子がよくわかるようにしたり、共有スペースを設けて異なる部署同士の交流を促したりすることで、新しい発想も生まれやすくなると思います。情報伝達が効率化することでお客様への対応スピードも上がるでしょう。ひいては、これまで以上により迅速に製品を世に送り出すことができるのではないかと思います」と藤岡秀則開発本部長は期待を寄せる。「社員同士互いに刺激し合いながら、いままでにないシナジーを生み出していきたいですね。これからは、この新しい『理想開発センター』から、世界へ向けて進化していきます」。新たな拠点から、今後どんな驚きが誕生するのか。期待は大きい。
継承し続ける開発ポリシー「世界に類のないものを創る」
取締役 開発本部長
藤岡秀則
光降り注ぐ開放的な吹き抜け空間を挟み、異なる部署の実験室と事務室を同フロアに配備。相互交流が促される設計になっている。
開発から営業までの密な連携も、理想科学の創業以来の特長だ。開発過程では、技術者も営業と同様お客様のもとを訪ねる。よくお客様の声を聞き、何が本当に求められているのかを見極め、新たな提案につなげ、お客様とともに製品をつくりあげていく。創業者 羽山昇も、誰よりも厳しく製品をチェックし、技術先行の提案ではなく、どうしたらお客様にとってより使いやすいかという考え方を何より重視していた。
研究開発への真摯な姿勢と確かな技術に裏打ちされたものづくり。しかし、これからはそれだけでなく、さらなる潜在的な需要や価値を掘り起こし、形にすることも求められるようになる。「お客様にとって大切なのは、印刷機ではなく印刷物です。必要な印刷物を、いかにストレスなくスムーズに手にすることができるかが重要なのです。そのために、私たちは徹底して操作性を追求するとともに、誰にとっても簡単で使いやすく、心地よく利用できる使い勝手のよい?製品づくりを進めなければならないと考えています」と歩むべき道を展望している。
屋上にはソーラーパネルを設置し省電力化を実現。半球型の設備は太陽光自動追尾装置。自然光を屋内に取り込める。憩いの場となる庭園も。
使いやすさの追求のために
近年多くの企業において、製造側からではなく、ユーザーの視点からアプローチする「人間中心設計」の考え方が広がっている。「ユニバーサルデザインはもちろん、やりたいことが直感的にできるユーザーインタフェースの実現などに、積極的に取り組んでいきたい。それには人間 中心設計が役立ちます」と開発企画室の小山文子は説明する。理想科学は今後も、お客様の潜在的なニーズに応える製品開発を追求していく。