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次世代へつなぐ伝統─印刷機が寄与するものづくりの現場

京都、丸亀と並ぶ有数のうちわ産地とされてきた熊本県、来民地区で、現在唯一 来民うちわを製造しているのが栗川商店だ。そこで活用されているという理想科学の印刷機は、伝統工芸とどのように関わり、その振興に貢献しているのだろうか。

オルフィスEXで印刷されたうちわ地紙。鮮やかに発色した青が印象的だ。デザインには地元の書家や画家の絵が使用されたものも多い。

伝統工芸の現場を支える印刷機

 熊本県北部、山鹿市の中ほどにある来民地区。約400年前、この地を訪れた四国の僧が製法を伝授したと伝えられる来民うちわは、江戸時代初期、熊本城主・細川氏の奨励により地元の工芸品として定着した。大正から昭和初期にかけて、広告媒体として用いられたことから生産量が大幅に伸び、地域の一大産業となったが、大量生産可能なプラスチック製うちわの普及でその数を減らしていった。栗川商店は明治22年の創業以来、来民うちわをつくり続ける現在唯一の伝統の担い手だ。「来民うちわの特長は、骨づくりから仕上げまですべて手づくりであり、柿渋で表面がコーティングされたものは、防虫効果があるだけでなく100年もつとされるほど耐久性が高いこと。年月とともに色に深みが増し、変化も味わえます。資源が乏しかった時代の知恵が詰まっているんです」と店主の栗川亮一さんは話す。
 そんな栗川商店で、オルフィスEXが、うちわ地紙(薄いハトロン紙など)の印刷から、パッケージの台紙(厚紙)の印刷にまで利用されている。特に薄いうちわ地紙への印刷は、薄紙の搬送技術に優れたオルフィスEXならではだ。

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日本古来の伝統柄からモダンな柄まで種類はさまざま。最近はご当地キャラクター「くまモン」の絵柄も人気だ。

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見学に訪れた地元の小学生たち。来民うちわを通して、郷土の歴史や文化が伝えられていく。

 近年栗川さんは、産まれた子どもの名前を入れる「命名うちわ」や、喜寿などの祝いごとに贈るうちわなど、贈答品としてのうちわを考案。今後はそれらの商品を包む畳紙(着物を包むときなどにも使う)にも、オルフィスEXを使って贈り主の名前を入れるなど、さらにオルフィスEXを活用していきたいそうだ。「逆説的ですが、時代に合ったものをつくらなければ伝統工芸は続きません。伝統工芸品がもつ希少性を大切にしつつ、一人一人のニーズに合った価値のある商品を提供していくためには、少量多品種にスピーディーに対応できる、小回りの利く印刷機が最適なんです。これからもオリジナリティーの感じられる商品をお届けできれば」と話す。気概をもって臨む伝統工芸の継承の現場。かたわらに、それを支える印刷機の姿があった。

オルフィスEXで薄紙もスムーズに

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パソコンでデザインを調整後、ネットワークを通じてすぐに出力。データは本体にも保存できるため、管理がしやすい。

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うちわの薄い地紙と白い厚紙の台紙両方の印刷にオルフィスEXを使用。描かれているのは熊本城。

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インクジェットプリンターでありながら、ハトロン紙(包装などに使用される薄いクラフト紙)のような薄紙にもスムーズに印刷できることが、オルフィスEX採用の決め手となった。

1889(明治22)年創業。栗川亮一さんは4代目。栗川商店で販売されるうちわはすべて手づくりで、1日200〜300本のうちわを生産している。ガラ柿(小粒の柿)から柿渋をとり、阿蘇外輪山でとれる3年物の真竹を使用。和紙は全国から取り寄せているが、かつて盛んだった地元の和紙づくりの復興も栗川さんの夢のひとつだ。

株式会社レイメイ藤井 熊本本店
事務機部事務機二課課長代理 西村慎也さん(左)
理想科学工業株式会社 九州営業部 理想熊本支店長 青柳直樹(右)

「事務用途以外でこんな活躍の場があるんだという発見ができました」(西村)「地域に根差した分野でオルフィスEXが活躍するのは嬉しい。地域を盛り上げるお手伝いができれば」(青柳)

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