HOME > 知る・学ぶ > 理想の詩 > 「理想の詩」Close Up(2020年冬号)

「理想の詩」Close Up(2020年冬号)

文化発信の最前線で存在感を発揮する表現手段としての「リソグラフ」

東京・渋谷で相次いで開催された、「リソグラフ」を使った展示イベント。何十名ものクリエーターが参加し、「リソグラフ」ならではの表現を生かしたさまざまなアート作品を発信した。表現手段としての「RISO ART」のユニークさ、そして可能性に迫る。

本展示イベントを主催したFL田SHの高田光さん(左)、吉田尚弘さん(右)、OIL by 美術手帖の林里佐子さん。FL田SHは作品のプリントも請け負った。

手軽な表現手段としての魅力を伝えたい

文化の発信地として知られる東京・渋谷パルコ内にある、ギャラリー「OIL by 美術手帖」。ここで今夏「RISO IS IT」と題する展示イベントが開催され、33組のアーティストが「リソグラフ」を用いた作品を発表。各作品が20エディション限定で販売され、好評を博した。「過去に『美術手帖』に関わってくれたクリエーターや、この人ならどう『リソグラフ』で表現してくれるかな、と作品に期待がもてる方にお声掛けしていきました」と笑顔で話すのは、キュレーションを行った「OIL by 美術手帖」の林里佐子さん。「写真家や刺しゅう作家など『リソグラフ』未体験の方に事前にサンプルを送ったところ、『こんなにきれいに発色するのか』『再現性が高い』と驚かれました」と話す。「見た人に『リソグラフ』の表現の幅も発見してもらえたら」と話すのは、企画全体をディレクションし、一部作品の最終仕上げも請け負ったアートスペース「FL田SH」の吉田尚弘さん。「版を重ねて表現する点とその大衆性に、江戸時代の浮世絵と共通するものを感じます」と続ける。同じく「FL田SH」の高田光さんは、「多くのクリエーターにとって、『リソグラフ』が表現の選択肢として当たり前になるといいなと思います。もっと気軽に使ってもらえる機会を増やしたい」と話す。

また、9月には、同じ渋谷にあるものづくりカフェ「FabCafe Tokyo」が「Don’t Pay for Me(私の分払わないでよ)」と題する展示会を実施。国内外40名の作家が、日常で感じるさまざまな平等さ、あるいは不平等さをテーマに、「リソグラフ」で表現した作品を出展した。ディレクターの園部莉菜子さんによると、海外のクリエーターの間では、「リソグラフ」がアート制作のツールとして確立されているとのこと。「手軽な表現手段としての魅力を、もっと日本でも伝えていけたらいいですね」と話してくれた。

文化発信の最前線で、熱い注目を集める「リソグラフ」の姿がそこにあった。

(写真左)「リソグラフ」も展示された会場の様子。(写真右)小型スクリーン製版機「MiScreen a4」も展示し、布への印刷も紹介した。「『MiScreen a4』は製版が本当に簡単。布印刷のアイデアが広がりますね」と高田さん。

「RISO IS IT」メインビジュアル

“誰もがアートを介して対話できる機会をつくること”を目指して企画された「Don't Pay for Me」展。「リソグラフ」で刷られた作品がカフェの風景に溶け込んでいた。

写真:加藤甫
写真:加藤甫

「FabCafe Tokyo」ディレクターの園部莉菜子さん(左)とプロデューサーの野村善文さん(右)。「リソグラフ」の魅力を「複製なのに唯一性がある」と語ってくれた。

OIL by 美術手帖

「アート作品の購入」体験を提供。渋谷パルコでは、ギャラリー、カフェ、シェルフ(ショップ)の3つの機能を展開。
URL https://oil.bijutsutecho.com/


FL田SH

ギャラリー、ショップ、印刷スタジオが一体となったアートスペースを運営。ストリートから生まれるアートをコンセプトに企画展示や出版物を手掛ける。
URL https://www.instagram.com/flesh.tyo/


FabCafe Tokyo

レーザーカッターやUVプリンターなどを使って誰もが気軽に「デジタルものづくり」を楽しめるカフェ。さまざまなイベントを展開するほか特定のテーマで共創を行うコミュニティ活動もサポートしている。
URL https://fabcafe.com/jp/tokyo/


『理想の詩』をお届けします。

本誌の定期送付(無料)をご希望の方は、ホームページの講読申し込みフォームまたは、ハガキに郵便番号、住所(希望送付先* 日本国内に限ります)、氏名(フリガナ)、電話番号をご記入の上、下記までお申し込みください。


・お申し込み先(ハガキ)
〒108-8385 東京都港区芝5-34-7 田町センタービル
理想科学工業株式会社 広報部『理想の詩』編集係

このページのトップへ