黒板にチョークといえば、教室と聞いて思い浮かべるイメージの象徴かもしれない。
そんな学びの風景が、今、少しずつ変わろうとしている。
教育現場の現状を探るべく、茨城県守谷市立愛宕(あたご)中学校で社会科を担当されている倉持英行先生の授業を訪ねた。
記憶にあるのはどんな授業風景だろうか。教科書を手に教壇に立つ先生、眠気と闘いながら書き写したノート、黒板消しから舞うチョークの粉―。手書きのシートとプロジェクターを使い、皆の前で発表をした思い出がある人もいるかもしれない。そんな懐かしの授業風景も、近年はICT化による変化が進みつつあるという。
1人につき1台のパソコンが導入されるなど、公立校としてはICT化が非常に進んでいる愛宕中学校では、守谷市共有のスクールサーバーを使い、教職員同士がメールや文書のやりとりをしたり、自宅の端末からアップした作業内容を学校で使用したりしている。先生が互いの教材を参考にし合ったり、一から教材を作成する手間も省け、時間の有効活用につながっている。手書きだった生徒の指導要録がデジタル化されていけば、担任が変わったり、生徒が転校になったりしても情報管理がしやすくなる。
写真などが多く使われる社会科、理科などの資料はフルカラー化され、詳細が見やすく印刷されるようになった。生徒の理解を深めるため、パソコン画面を投影させたり書き込みなどができる電子黒板も導入。ウェブも使用できるため、必要な情報をすぐに検索して見せることもできる。倉持先生は話す。「最近は教科書のデジタル化も進んでいます。アナログの教科書上では静止画でしかなかった写真も、デジタル化により、電子黒板で動画として見ることもでき、より深い内容を学べるでしょう」
そんな中、紙の重要性も再認識されている。「いくらパソコン画面で資料を確認できても、やはり印刷してメモをされる先生も多い。授業だって、書く作業を通すからこそ頭に入ったり身につくことがある。板書の大切さは依然あると思います」。変わりゆく教育現場だが、最新技術と紙、どちらの利点も生かしながら、最適な教育環境を提供したいという確かな想いは変わらないようだ。
守谷市立愛宕中学校
研究機関が点在する学園都市つくば市に程近く、つくばエクスプレス開通以来都心への通勤圏として人気が高まる新興都市に位置する。「地域の教育意識、学力向上へのニーズは高い方かもしれません」と倉持先生。守谷市教育委員会はICT化を積極的に推進。市内約5600名の児童生徒に最適な教育環境の整備、提供を進めている。
「オルフィスX」の営業を担当された株式会社フジタの田谷清久さんより
「守谷市の子どもたちに質の高い教育が提供できるようになったと聞き嬉しく思っています」