贈り物に欠かせないのし紙。礼を尽くした包装へのこだわりは、日本伝統の贈答文化に根差している。
海苔の製造・販売を手がけ、年間を通して多くの贈答用商品を取り扱う藤森商店では、商売に理想科学のオルフィスEXが欠かせないという。その実態をさぐった。
隅々まで神経の行き届いた丁寧な包装。商品だけでなく包装にも心をこめるのが、礼を尽くす日本の贈答文化だ。
人との縁をつなぐ贈り物
お歳暮にお中元、冠婚葬祭の挨拶など、季節の折々や人生の節目に、日本人は贈答品を贈り合うことで人間関係を育んできた。中でも、保存がきく手頃な食品として長年喜ばれてきた贈答品が海苔だ。「人間関係が希薄な時代だからこそ、贈り物の習慣が生きてくる。私もお客様との丁寧なやり取りを大切にしていきたいですね」と話すのは藤森商店社長の藤森雄一さん。東京・大森の地に拠点を構える、海苔卸売・販売会社の二代目だ。創業時代からの卸売業のほか、主に自社で製造・加工した海苔を通信販売や店頭販売を通じてお客様に提供している。「近所の人へのちょっとしたお礼やおすそ分けにも、手軽な海苔は喜ばれます。親が大好きだったからといってお見えになる若いお客様もいる。海苔が、地域や家族の縁をつなぐよすがになっていると思うと嬉しいですね」と、藤森さん。
自宅用から贈答用まで、さまざまな種類の商品が並ぶ。軽やかでポップなデザインの缶入りは、藤森商店一番人気の商品。
そんな贈答品に欠かせないのがのし紙だ。古来、縁起物として熨斗鮑(のしあわび)を贈り物に添えていたことを由来とし、いまも水引と併せて品物を包装する際に使われる。藤森商店ではそののし紙印刷に、オルフィスEXと専用ソフト「理想筆耕職人 のしVer.3」を活用。季節の贈答や仏事など、115種にのぼる定型句が登録されており、美しい筆文字で印刷できる。「エコブームで簡易包装がもてはやされていますが、贈答品の場合、受け取る側は包装の丁寧さや心遣いに贈り主の思いを率直に感じ取るもの。だから手を抜きたくないんです」。注文は全国から入るため、「志(関東)」「粗供養(関西)」など地域ごとに異なる表書きの知識も必要だ。「理想科学のアプリケーションにはそれらが網羅されているので助かっています。しきたりの多様さや地域性などをこちらも学ばせていただいている。贈答品をやり取りする行為の中に、文化や歴史がつまっていると実感しています」。贈り物に添えられたのし紙が、大切な日本の伝統とまごころを私たちに伝え続けてくれている。
オルフィスEXで的確なコストマネジメントを実現
「外注していた頃の在庫管理の悩みが解消されました」と藤森さん。たとえば品物やカタログを入れる封筒印刷を外注すると、ロット数が最低でも1万枚必要だったが、いまは必要なときに必要な分だけを刷る。「外注では単価が20円ほどでしたが、いまはそのほぼ半分で、金額的にも社内スペース的にも大きなコストカットが実現できました。オルフィスEXで内製した封筒なら、お客様に気軽に差し上げられる。お客様にサービスとして還元できて嬉しいです」
会葬礼状専用のアプリケーション「理想筆耕職人 会葬礼状Ver.3」も併用。神式・仏式・キリスト教式に対応した豊富な文例(158種類)、1000種類にのぼる家紋も収録されている。写真右側はオルフィスEXで印刷した封筒。 |
のし紙のほか、DMの住所印字や封筒、価格表などの印刷にもオルフィスEXを大いに活用している。 |
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「理想筆耕職人 のしVer.3」を使ってパソコン上で水引のデザインを調整。宛名を入力した後、すぐにオルフィスEXで出力。操作も簡単なので、社内の誰でも作業できる。 |
創業1965(昭和40)年。江戸時代からの海苔の名産地である東京・大森に本店を構える。「美味しいものしか売りたくない」と藤森さんが語るように、厳選した原材料、直仕込みのタレを使うなど、独自の加工技術で丁寧に仕上げた海苔製品を提供している。合言葉は「海苔マイ・ブーム」。古き良き伝統は守りつつ、現代的なセンスも生かすのが藤森さんのこだわりだ。
理想科学工業株式会社 首都圏第一営業部
理想三田支店 営業一課 諸岡誉宜
「リソグラフ、オルフィスと、長年お使いいただいているお客様です。
信頼関係を大切に、末永いおつき合いをしていきたいですね」
代表取締役 藤森雄一さん